夏なのに体が冷える!?

「内臓冷え」に要注意

夏なのに体が冷える!?自分では気づきにくい「内臓冷え」に要注意

冷房や冷たい飲食物の影響で、夏でも体が冷えている人が増えています。
なかでも見落とされがちなのが、内臓の冷え。だるさや食欲不振など、さまざまな不調を招くことも。自分では気づきにくい「内臓冷え」の原因と対策を、消化器内科医の古川真依子先生に教えていただきました。

古川真依子先生

イーク表参道 院長
古川真依子先生

東京女子医科大学卒業。同大学附属青山病院消化器内科で助教、東京ミッドタウンクリニック 人間ドック健診センター長・理事を経て現職。専門は消化器内科。便秘や更年期障害など女性ならではの悩みにも詳しい。

自覚症状がないからコワイ!「内臓冷え」とは?

「なんとなく調子が悪い」のは、内臓冷えのせいかもしれません。
早めに対策をして、内臓冷えの原因を取り除きましょう!

さまざまな不調の原因は内臓冷えかも

なんだかだるい・・・・
消化不良

「暑い」と感じているのに体の内部は冷えている!?
その原因とは?

「内臓冷え」とは、手足は温かいのに、内臓に行く血流が滞り、胃腸などの内臓が冷えて本来の働きをしていない状態をいいます。一見すると、問題なさそうでも、実は体の内部が冷えてしまっているため、自覚しにくく、「隠れ冷え」や「夏冷え」とも呼ばれています。内臓冷えの原因は、以下のように大きく3つ挙げられます。

  • 1血行障害

    冷房による冷えのほか、同じ姿勢のデスクワークや運動不足などで、全身の血流が低下しています。

  • 2冷たい飲食物の摂り過ぎ

    胃腸が冷やされることで、内臓の働きが弱まりやすくなります。夏特有の生活習慣が、知らないうちに内臓冷えを引き起こしているのです。

  • 3自律神経の乱れ

    夏は屋外の厳しい暑さと屋内の強い冷房との温度差が大きく、体温調整を担う自律神経に負担がかかります。その結果、血流や胃腸の働きが乱れやすくなるのです。女性の場合は、更年期による自律神経障害も原因になることがあります。

たとえ軽い不調でも放置しないことが大切

内臓冷えになると、症状として現れやすいのが胃腸の不調です。胸焼けに下痢や便秘、おなかの張り、食欲不振などが起こりやすくなります。また、血行不良による肩こりや腰痛、疲れやすさ、だるさ、睡眠の質の低下などの症状も出てきます。

しかし、寒さや手が冷たいといった自覚症状が少ないため、内臓の冷えが原因だとは気づきにくく、「なんとなく調子が悪い」と見過ごされてしまうことが多くあります。

さらに、問題はそれだけではありません。胃腸の働きが低下した状態が続くと、腸内環境が乱れ、免疫力も低下します。すると風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりします。慢性的に代謝の低下が続けば、むくみや体重増加、生活習慣病のリスクにもつながります。内臓冷えは、さまざまな不調の原因になってくるのです。

最初は軽い不調でも放置せず、早期発見と早期対応を心がけることが、内臓冷え対策では重要です。
おなかを触ってみて、手よりも冷たいと感じたときは「内臓冷え」を疑ってみましょう。

内臓冷えのセルフチェック おなかに手を当てて、手よりも冷たいときは内臓冷え!

冷えた体を内側から整える8つのポイント

消化にやさしい食事と血流に良い習慣を取り入れることが
大切

内臓冷え対策でまず意識したいのが、胃や腸に負担をかけにくい食事です。夏はつい冷たいものや喉ごしの良いものに偏りがち。そんなときこそ消化機能や腸内環境を整えることが大切です。おすすめは、洋食よりも和食中心の食事。和食は煮る、蒸すなど、胃腸にやさしい調理法が多いので内臓冷え対策にも向いています。

主食は冷たい麺類に偏りがちですが、消化の良い順でいうと、うどん、そうめん、そばと続き、中華麺は油分が多く、比較的消化に時間がかかるので、選ぶときに気をつけましょう(原料の種類と調理法により異なります)。たんぱく質は脂っこい肉より、白身魚、鶏肉、大豆製品などがおすすめです。また、朝食を抜いたり、空腹時にいきなり冷たい飲み物を摂ったりすると、消化のリズムが乱れ、内臓冷えにつながります。

さらに、血流を良くする生活習慣も欠かせません。入浴や軽い運動も取り入れて整えることが、内臓冷え対策の基本です。

以下に8つのポイントをまとめまていますので、ぜひできることから実践してみてください。

ポイント1

主食とたんぱく質は消化に良いものを選ぶ

内臓冷えを防ぐには、消化に良い食材を選ぶことが大切。主食の中では麺類がおすすめで、特にうどんは胃腸への負担が少ないのが特長です。たんぱく質は大豆製品など植物性がおすすめですが、動物性たんぱく質を摂る場合は、脂っこい肉は避けて、白身魚や鶏のささみやむね肉を選びましょう。

ポイント2

朝食は抜かない!空腹で目覚めるのが理想

寝ている間は消化機能が止まっているので、朝、食欲がないのは夕食が残っているなど消化不良が原因。だからといって何も食べないでいると、消化機能は低下したままで内臓が冷えやすくなります。朝食をとって消化機能のスイッチを入れることが大切。そのためには空腹で目覚めるのが理想です。

ポイント3

野菜は生より火を通したものを

野菜は生野菜で摂りがちですが、消化にやさしい食事を心がける場合は、できるだけ加熱したものを摂るようにしましょう。ゆで野菜や蒸し野菜、煮物など、加熱することで野菜の繊維がやわらかくなり、胃腸への負担を少なくできます。

ポイント4

食欲がないときは野菜ジュースで栄養補給

食欲が落ちたときにおすすめしたいのが、野菜ジュースです。ビタミンや食物繊維などが含まれているので、栄養補給にもなります。好みのものを2 〜3種類選び、ローテーションさせれば飽きずに継続できます。ただし、冷やし過ぎないよう気をつけましょう。

ポイント5

夏でも温かい汁物や麺類を取り入れよう

内臓が冷え、消化機能が低下しているときは、温かい汁物や麺類を意識的に取り入れましょう。具だくさんの豚汁は栄養バランスが優れていますし、野菜をペースト状にしたポタージュなどのスープも消化が良くおすすめです。麺類は冷たいものを食べがちなので、そうめんは温かいにゅうめんにするなどして、体を温めましょう。

ポイント6

シャワーではなく、湯船で体の芯まで温める

お風呂をシャワーで済ませてしまうと、肌の表面は温まりますが、体の深部までは十分に温まりません。内臓冷えの改善には、湯船に浸かって体の芯まで温めることが大切。お湯に浸かると深部体温が上昇し、冷えた内臓も効果的に温められます。

ポイント7

ストレッチや筋トレで熱をつくる体に

 体内で熱をつくり出すのは筋肉なので、女性や高齢者など筋肉が少ない人は、内臓も含め全身が冷えやすい状態です。無理のない範囲で、ストレッチや筋トレにも取り組み、たんぱく質も摂取して熱をつくれる体になりましょう。

ポイント8

出かけるときは早歩きでカンタン有酸素運

「早歩き」のような軽く汗をかく程度の有酸素運動は、血流が良くなり、体温調整機能も活性化するので内臓冷え対策におすすめです。通勤や買い物など出かける際に手軽にできるので、取り入れてみてください。

冷えた体を外側から整える6つのポイント

大切なのは体温調整!体を冷やさない工夫をしよう

冷えた体を整えるためには、自分に合った体温調整を行うことが大切です。体温調整といっても、あくまでも感覚的なもので、体温を測る必要はありません。重要なのは「暑い」「寒い」という自分の感覚を大切にすること。体感温度には個人差があるため、自分の体の感覚に合わせて調整しましょう。

例えば、暑いと感じたときは、おなかを冷やさないようにしながら首まわりを冷やします。反対に、寒さを感じたときは、おなかや腰まわりを温めましょう。特におへその下は内臓に近く、温めると全身がラクになりやすい場所です。夏でもストールや靴下、カイロなど、冷やさないためのアイテムを職場に置いたり、持ち歩いたりして必要に応じて活用しましょう。

自分の体の声に耳を傾け、そのときどきで心地良い方法を選ぶことが、内臓冷え対策につながります。

体温調整に効くポイントはココ!

熱中症対策暑い日は熱中症対策にも気をつけましょう

冷たいものは、必要なときに必要なだけ。上手に取り入れよう!

熱中症気味になったり、汗をかいたりして体温が上がっているときは水分補給が必要です。また、体を冷やさないといけないので、冷たいものは絶対にダメというわけではありません。冷たいものは「必要なときに必要なだけ」という考え方を基本に、体温が上がっているときは積極的に活用し、それ以外は内臓を冷やさない食習慣や生活習慣でおなかを守るという、メリハリのある使い分けを心がけましょう。

暑いときは、首と手のひらを冷やそう!

暑いときは、首の付け根と手のひらを冷やすと、暑さが和らぎます。また、熱中症や発熱時は体の熱を下げるため、首の付け根、脇の下、太ももの付け根の太い血管を冷やしましょう。

古川先生からのアドバイス

私自身も、日頃から体温調整を意識しています。仕事中でも腹巻をすることがありますし、足首は冷やさないようにしています。足元のヒーターも、デスクの下に1年中置いたままです。

自分の体とは、誰よりも長いつきあいです。体調があやしいときは、「なんとなく悪い予感がする」と感じることがありますよね。そんなときは、温かいものや消化の良いものを意識して摂り、体調を崩さないよう整えています。いいパフォーマンスが出せるよう、日々試行錯誤しているという感じです。

自分の体と上手につきあえるようになると、体調も安定してきます。みなさんも、自分なりの体温調整に取り組んでみてください。

私も1年中ヒーターを足元に置いて対策しています。